新しい「石巻魚市場」は水産庁の定める衛生管理基準のレベル3に対応した先進的な市場です。
先進的な魚市場では、食中毒を防ぐ観点から、汚染源を「持ち込まない」、「つけない」、「増やさない」
という考えに基づいた取り組みがされています。
●水産物の鮮度を落とさないために、市場全域で清浄な水、氷が利用できます。
●鳥獣やほこりの侵入を防ぐ閉鎖型の施設となっています。
●ゾーニングが明確化され迅速な魚介類の取り扱いが可能になっています。
表:衛生管理基準の考え方
石巻魚市場は、「漁港における衛生管理基準」(平成20年6月12日水産庁通知)に基づいて計画・運営されています。
「魚港における衛生管理基準」とは、国際競争力の強化と力強い産地づくりの推進を目的に定められた基準で、
以上のような考え方で段階的に市場の衛生管理をレベルアップしようとするものです。
石巻魚市場では、汚染物を「持ち込まない」「つけない」「増やさない」ため、
●人、車両の入場が管理されています。
●許可された人だけが入場できるようになっています。
●手洗い・長靴洗いをルールにしています。
●衛生的な作業レベルの向上のため出入り口、作業エリアの映像を記録しています。
●許可された車両だけが車輪を洗って入場するようになっています。
●荷捌き所で使用する電動フォークリフトは排気ガスを出さないようになっています。
●魚市場は、上図のように「陸揚げエリア」、「選別エリア」、「陳列・販売エリア」、「出荷エリア」のように ゾーニング分けされ、迅速に魚介類を陸揚げ~出荷できるようになっています。
●また荷捌き所は通常時は扉・壁によって閉鎖されており、必要時のみ出入り口を解放する「閉鎖型施設」で鳥獣や ほこりの侵入を防ぐ荷捌き所です。
閉鎖型荷捌き所には、天窓による自然採光や、ルーフファンによる床乾燥、出入口の防鳥ネットなど 様々な設備が設けられているほか、排気ガスによる魚介類の汚染を無くすため、電動フォークリフトを使用します。
ルーフファンはエネルギー・マネジメント・システムによって制御され、市場の電力使用量が多い時には運転台数が制限されます。
太陽光パネル鳥避け対策
鳥避け装置は、太陽光パネルへの鳥害(糞の汚れによる発電効率低下)を防止するため、 忌避音発生装置を設置して太陽光パネル設置エリアへの鳥類侵入を抑止します。
また、風力発電設備を設置し、鳥避け設備へ電力の一部を供給します。
●荷捌き所内と陸揚げエリア内では、上水、紫外線殺菌された清浄海水、殺菌力のある電解海水、 海水氷が供給され用途に応じて使い分けられます。
●清浄な海水を確保するため荷捌き所からの廃水は海に直接放流せず、排水処理施設を通すようになっています。
●荷捌き所と陸揚げエリアで使用される、海水、海水氷は清浄度の高い港外で取水し、濾過後に、海水氷や電解殺菌 海水の製造設備に供給されます。
荷捌場内への入場時は、入退管理室にて手洗い・手消毒・長靴洗浄を徹底し、ID認証により許可された人以外は 入場できないよう管理されています。
高度衛生管理基準レベル3の要求「記録の維持管理」に対応するため、手洗い、長靴洗浄の実施を映像で記録します。
岸壁への車両入退場時は、車両ゲートにて車のナンバーを認識し、登録車両以外は入場できないよう管理されています。
入場ゲートにはゲート通過後に洗車場があり、ゲートに連動して水が噴射され、タイヤ洗浄を行います。
高度衛生管理基準レベル3の要求「記録の維持管理」に対応するため、タイヤ洗浄の実施を映像で記録します。
高度衛生管理基準レベル3の要求「記録の維持管理」に対応するため、魚市場への出入り口や場内の動きを記録するカメラを各所に設置し、市場内の衛生的な運用を記録します。
カメラ映像は、目的に応じて場内や、岸壁 (入船)の様子や、動体検知による人や車の出入り映像を一定期間分保存しておくことができます。
石巻魚市場には、魚市場の高度衛生管理を情報通信技術で支援するための各種情報通信設備が導入されています。 各種設備で記録された、
●入退場の記録
●魚流通の記録
●魚体温度、水温、室温の記録
●衛生管理運用の記録
など、衛生管理に関わる取り組みの情報を統合・集約し、一連の情報として管理する統合管理システムを備えています。
これは、東北大学生活環境早期復旧技術研究センターと石巻魚市場が、2012年秋から実用化を目指して開発を 続けてきたものであり、全国でも石巻魚市場にしかない放射能汚染検査用のシステムです。
ベルトコンベアーが延びる全長約12mの機器で、ベルトの下約8mに渡って 放射能センサーが120本設置されています。 ベルトコンベアーの上を、2.5秒に1匹ずつ魚を載せて 送ると機器の出口では、 1㎏あたり100ベクレル以上(国の基準値) 50ベクレル以上(要注意値) 50ベクレル未満(安全) 3つに自動的に振り分けられます。
ベルトコンベアーで検査された魚に関しては、魚種・海域毎に毎日発表を行っています。 放射能検知時の表示 出荷を自粛すべき魚種についても、日付・海域と併せて情報を正しく公開しています。